【関係者用】Re:INTRODUCED 語り直される「転校経験」

当店初となるオリジナルZINE『Re:INTRODUCED 語り直される転校経験』をリリースしました。

これは、誰にでも向けて作られた本ではありません。わかりやすい答えや、きれいな結論も、用意していません。

子ども時代に転校を経験した9人の大人が、時間を置いて、もう一度その記憶に触れています。語られるのは出来事そのものよりも、その後も体のどこかに残り続けた感覚や距離の話です。

転校は、多くの場合、静かな断絶として起こります。理由は大人の側にあり、子どもはただ、新しい場所に立たされる。自己紹介だけが何度も求められ、それまでの文脈は、そこで一度途切れてしまいます。

このZINEは、そのとき言えなかった自己紹介を、大人になった今、少しずつやり直すための試みでもあります。

本書の企画者であるSO GOOD店主も転校経験者です。他者の声を集めるという形を取りながら、自分の中に沈んでいた違和感や、人との距離の取り方を見つめ直しています。インタビューは共感を集めるためではなく、記憶に輪郭を与えるための編集行為として置かれています。

本書には、転校が救いになった話もあれば、長いあいだ尾を引いた話もあります。どれも整理されすぎてはいません。うまく言い切れなかった部分も、そのまま残しています。

ZINEという形式を選んだのは、このテーマが完成を必要としないからです。語り直しは一度きりでは終わらず、読む人それぞれの記憶と重なりながら、何度も形を変えていくものだと考えました。

転校経験のある人にとっては、長いあいだ触れずにいた場所を、そっと確かめる読書になるかもしれません。転校経験のない人にとっては、理解しきれないまま立ち止まるページがあるかもしれません。それでも、この本はそのままでいいと思っています。

このZINEは、急いで読まれることよりも、誰かの本棚に静かに残ることを選びました。

■■本書構成

・ロングインタビュー

#01 marimoさん：イラストレーター/女性/30代

#02 岡田有祐さん：デザイン会社経営/男性/40代

#03 二神飛鳥さん：会社員・DJ/女性/30代

・ショートインタビュー

#01 あーゆるNurse Rieさん：アーユルヴェーダ講師・看護師/女性/30代

#02 杉山雄風さん：デザイナー/男性/30代

#03 日歌さん：事務職/女性/40代

#04 おきしまりえさん：介護職/女性/40代

#05 池上直樹さん：アートディレクター・デザイナー/男性/40代

#06 パン粉さん：営業職/女性/30代

・エッセイ、その他

イントロダクション（文：石垣慧）

それは苦くて、甘い。 （文：中前結花）

記憶の底を覗いて （文：岡田有祐）

おわりに（文：石垣慧）

■■この本について

タイトル：Re: INTRODUCED　語り直される「転校経験」

発行日：2025年12月20日 初版第一刷発行

発行 : SO GOOD books & styles

企画・ディレクター：岡田有祐

取材・編集：石垣慧（出版社ビーコン）

サイズ：約120mm×175mm

頁数：本文 136ページ

ブックデザイン：岡田有祐・八木千枝乃

装画：daisketch

印刷：印刷通販グラフィック

製本: SO GOOD books & styles